第86章

周防奏夢は床にへたり込んだ無様な姿勢のまま、顔を涙で濡らしていた。一方で古川和津は、すでに南の手を引き、周りの目など気にも留めずにダイニングテーブルへと向かっている。

その時、物音を聞きつけた周防久林と宮瀬秋奈も二階から降りてきた。

リビングの惨状を目にした途端、二人の顔色はさっと曇った。

宮瀬秋奈は足早に近づき、床に座り込む周防奏夢には一瞥もくれず、南の隣の椅子を引いた。その顔には再び愛想の良い笑みが張り付いている。「南、早く座ってご飯にしましょう。太田さんの得意料理よ」

周防久林は咳払いを一つし、威厳に満ちた視線を、いまだにその場で呆然としている周防逸に向け、低い声で言った。「周...

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