第87章

南は耐えきれず、冷たい表情のまま階段を上がっていった。

古川和津は目を伏せ、南の姿を見つめた。

彼女は先ほどあのメッセージを目にしてから、ずっと心ここにあらずだった。

……

会社へ向かう道中、車内の空気はどこか重苦しかった。

古川和津は何度か口を開きかけたが、南の全身から放たれる人を寄せ付けない低い気圧に気押されて、言葉を飲み込んでしまった。

あのメッセージの内容は知らない。ただ、今の彼女がひどく機嫌が悪いこと、そしてその不機嫌さが自分とは無関係らしいことだけは分かっていた。それが彼をいっそう苛立たせた。

会社に近づいた頃、南がようやく沈黙を破った。

「古川和津」彼女は窓の外...

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