第91章

すべてを終えると、彼女は足早にデスクへ戻り、声を潜めた。その口調には隠しきれない憤りと懸念が滲んでいる。

「南さん、たった今入った情報ですが、あの須藤香里が……釈放されました」

南は書類をめくる手を一切止めず、視線すら上げなかった。まるで「今日はいい天気ですね」といった世間話でも聞いて流すかのように。

「そう」淡々と相槌を打ち、書類の隅に流れるようなペン捌きでサインを走らせる。

しかし太田瀬里奈は焦燥に駆られ、デスクの縁に両手をついて身を乗り出した。「南さん、ご存知ないかもしれませんが、彼女は保釈されたんです! 噂では本社から直接指示が下り、相当なコネを動かしたとか。警察でさえ釈放せ...

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