第109章 自暴自棄

「春が母さんに会いたいって言うからさ。あいつ、電話の掛け方知らないから僕に掛けろって」

春は丸の背後で一生懸命に背伸びをし、腕のスマートウォッチを高く掲げてみせた。お兄ちゃんの言うようなバカじゃない、自分だって電話を掛けられるのだとアピールしているのだ。

水原寧々は二人の子供のやり取りに思わず声を上げて笑った。その様子を見た他の同僚たちも次々と集まってきて、画面越しの愛らしい二人の姿を見るなり黄色い歓声を上げた。

「わあ、めっちゃ可愛い! 誰の子ですか、水原さん?」

そんな大げさなリアクションをするのは、間違いなく竹内先輩だ。水原寧々は画面の中で腕を組み、ツンとした顔をしている男の子...

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