第113章 顔見知りの犯行

「そんなの簡単なことじゃないか。家に帰ったらお父さんにこう言うんだよ、叔父さんは生活が苦しいから、林田グループに入れてやってくれないかってね。役職なんてなんでもいいんだ。警備員でも、門番の爺さんでも構わない。とにかく仕事が欲しいんだよ、頼めるかい?」

向かいに座る男の要求があまりにもささやかなものだったため、林田樺はこくりと頷いた。

「いいよ」

林田樺が思いのほか御しやすいと見ると、林田達也は目をぎょろりと動かし、自分の娘の写真を差し出した。

「ほら、見てごらん。これが君の妹だよ。今年でもういい年でね、四十を過ぎたんだ。彼女には二人の子供がいて、私にとっては孫、君にとっては甥と姪にな...

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