第114章 林田って

「母は記憶を頼りに人を認識しています。そして、その記憶のほとんどは25年前で止まっているのです。ですから、母を連れ去った人物は、少なくとも20年来、あるいは30年前から母を知っている者である可能性が高い。そう考えると、この屋敷にいる大半の人間は除外され、調べるべき対象はかなり絞られます」

水原寧々の緻密な推論を聞き、祖父の林田は小さく頷いた。しかし、すぐに厳しい表情で彼女に向き直って言った。

「私が渡したBluetoothイヤホンを、なぜずっとつけていなかったんだ? あの時つけたままでいれば、誰に連れ去られたのかすぐに分かったはずだろう」

そう責められ、寧々自身も己の落ち度を痛感してい...

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