第126章 誘惑

全開の覇気を放つ夏目布川を前にして、その圧倒的な威圧感は周囲の空気すら凍りつかせるかのようだった。立ち上がりかけた数人は恐怖のあまり再び床に這いつくばり、ガタガタと全身を震わせている。中には恐怖のあまり失禁し、汚物を漏らしてしまう者までおり、鼻をつく悪臭が空間に立ち込めていた。

夏目布川のやり口は、裏社会でも血も涙もないことで広く知れ渡り、その名を耳にするだけで誰もが震え上がるほどだ。水原寧々は極道の抗争などに関わるつもりは毛頭なく、ただ青子先輩の安否だけを案じていた。彼女は夏目布川に軽く会釈すると、落ち着き払った様子で白石光に声をかけた。

「行きましょう。青子先輩さえ無事なら、それでい...

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