第129章 ドレスの争い2

「桜様、こちらは今年F国のファッションウィークでオープニングを飾ったドレスでございます。世界にたった一着しか存在しません」

店員は礼儀正しく応じた。その顔には職業用の笑みが貼り付いていたが、眼差しにはごくわずかな誇りが透けて見える。これほど貴重なドレスを扱えること自体、このブティックの実力を証明しているのだから。

彼女は背筋をピンと伸ばし、わずかに顎を上げた。まるで店そのものの格の違いを桜に見せつけるかのようだ。その澄んだよく通る声は、広々としたフロアに響き渡り、周囲の客たちの視線を惹きつける。皆が好奇心と羨望の入り混じった瞳をこちらに向けていた。

「あら、そう? 私の記憶が正しければ...

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