第25章 売らないと言った!

「田中さん、何をおっしゃる。誰にだって見誤ることはあります。それに、あの石については先ほども申し上げたはず。お気に召したなら買えばいい、と。最終的に手を引かれたのは、あなたご自身でしょう。それを私のせいになさるとは、筋違いも甚だしい」

佐々木先生は即座に責任を相手に転嫁し、田中さんはほとんどテーブルを叩きそうなほど怒り出した。

田中だけでなく、その婿である平沢川も顔をしかめた。何しろ、あの男を連れてきたのは自分なのだ。こんな醜態を晒しては、自分の顔に泥を塗るようなものだった。

しかし田中は今や怒りの頂点にあり、この佐々木先生が口答えしたことで、瞬時に殴りかかった。

佐々木先生も黙って...

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