第60章 高橋雪子と食事

水原空は病院に三日間入院し、傷口はすっかり塞がり、普通に歩けるようになった。手の傷も大分良くなり、もう大した問題はなかったので退院した。

この数日間、病院のベッドで過ごして退屈でたまらなかった。病院を出たとき、彼はまるで生まれ変わったかのような解放感を覚えていた。

太ももはまだ少ししびれていたが、走らなければ問題なかった。

彼はタクシーを使わず、ゆっくりと歩いて帰ることにした。一つには無一文で、スマホも電池切れだったこと、もう一つには病院でずっと横になっていたので、少し歩いて体を動かしたかったからだ。

約二キロ歩いたところで疲れ、座って休むことにした。

ちょうどその時、横を赤いラン...

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