第4章
空良視点
姿見の前に立つ。鏡に映る女は、私じゃないみたいだ。
メイドはついさっき部屋を出ていった。今は一人。銀色の生地に指を滑らせる。体の曲線に完璧にフィットした、オーダーメイドのドレス。深く切れ込んだVネック。背中の大きく開いたデザイン。
カフスボタンを直しながら、将臣が入ってくる。彼は私を見て、足を止めた。
「……綺麗だよ」
「やりすぎよ。このドレスのこと。こんなことまでしてくれなくても……」
「俺がしたかったんだ」彼はもっと近くに寄る。その指が、私の剥き出しの肩に触れた。「今夜、誰もが俺に見えているものを見ることになる」
真剣すぎる彼の瞳。私は視線を逸らし...
ログインして続きを読む
チャプター
1. 第1章
2. 第2章
3. 第3章
4. 第4章
5. 第5章
6. 第6章
7. 第7章
8. 第8章
縮小
拡大
