第104章 彼女は病気じゃない

そのとき、神野孝峰が入ってきた。

車はもう用意できている。神野若芽を起こし、孤児院へ連れていくためだ。

孝峰は、若芽の前に残された食べ残しに目を留めた。

役立たずの娘だが、使い道がないわけじゃない。そんな娘に残飯を食わせておけば、不満を抱くのは目に見えている。――視線が物語っていた。

「おいおい、若芽。この料理、もう傷んでるだろ。食べたらだめだ」

孝峰は皿をまとめて取り上げ、ゴミ箱へ放り込む。続けて家政婦を呼び、台所で麺を作らせた。湯気の立つ丼が若芽の前に置かれる。

だが若芽は、冷えた目でそれを見ただけで箸を取らなかった。

孝峰のわざとらしい取り繕いなど要らない。

それなら松...

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