第203章 お互いは、相手のために

神野若芽は、撃つたびに風船のど真ん中を撃ち抜いていく。今のところ、一度も外していない。

――おかしい。理屈の上では、そんなことありえない。

それなのに、割れた風船の数が増えるほど、店長はただただ思った。

神野若芽という存在が、だんだん「何か別のもの」に見えてくる、と。

五分後――

五十個目の風船が破裂。しかもノーミス。

神野若芽はエアライフルをテーブルに置き、完全に固まっている店長を見た。

「あなたの負け」

群衆は一瞬、沈黙した。

そして一分遅れて、わっと歓声と拍手が弾ける。

だが神野若芽は、その喝采に興味がない。彼女は指先で、横に積まれた巨大なテディベアを指した。

「...

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