第210章 転変

神野老夫人は、神野若芽の視線に射抜かれた瞬間、ぶるぶると震えた。

そこへちょうど、神野孝峰と松本萬里が車を停めて戻ってくる。夫婦が玄関を入った途端、若芽が冷えた目で老夫人を睨みつけているのが見えて、慌てて駆け寄った。

「どうしたんだ、母さん」

老夫人の説明を聞いて、孝峰と萬里は事情を察した。――老夫人が若芽を誤解している。

孝峰は老夫人の肩を支えてソファに座らせ、笑って言った。

「母さん、若芽のこと勘違いしてる。若芽は口パクなんかしてない。校長が調べたんだ、ちゃんと生歌だったって。それに、みんなの前でリクエスト受けてアカペラで歌わせたんだぞ!」

「……本当かい?」老夫人は目を丸く...

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