第219章 とっくに絶望すべきだった

その瞬間、神野お婆さんの顔色は、神野若芽の手よりも白くなった。身じろぎひとつせず、ただ呆然と見つめている。

若芽は自分の腕をちらりと見下ろした。表情は動かない。まるで痛みなど感じていないみたいに。

――けれど、よく見れば額には細かな汗がびっしり滲んでいる。

視線を移す。半分に割れたビール瓶を握る酔っぱらいへ。

若芽の腕から血がだらだら流れているのに、本人は淡々として感情の欠片もない。その異様さに、酔っぱらいは酒が三分ほど醒めたのか、顔を引きつらせてよろよろと後ずさった。

若芽は腕をだらりと下ろす。血が伝って落ちるのも気にせず、死神みたいな顔で、一歩、また一歩と距離を詰めていく。

...

ログインして続きを読む