第220章 意地っ張りな小娘

寺内七造は振り返って二度、ぎろりと睨むように様子をうかがった。――権田様、まさか弱ってるところに付け込む気じゃないだろうな?

……いや、ないか。

そう考えた矢先、権田真鳥が声を落とし、できる限り柔らかな声音で神野若芽の耳元に囁いた。

「病院に着いた。抱っこして降ろそうか」

腕の痛みで感覚が鈍っているうえ、寝起きのぼんやりも重なり、若芽は半分眠ったままのような状態だった。

かすかに目を開け、輪郭のはっきりしない真鳥の顔を数秒だけ見つめる。

――この人は、危なくない。

やがて小さく頷いた。

「……うん」

許可をもらうと、真鳥はドアを開けて降り、反対側へ回る。動きはゆっくり、丁寧...

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