第228章 棄権

若い看護師が、リュックを権田真鳥の目の前へ差し出した。

神野若芽が歩み寄り、反射的に手を伸ばして受け取ろうとする。

「私が持つ」

「もうすぐ試合だろ。今は腕に負担をかけるな」

そう言うなり、権田真鳥が先に動いた。片手でひょいとリュックを肩に掛け、そのままドアへ向かう。

入口で足を止め、振り返って神野若芽に言った。

「行くぞ」

神野若芽は困ったように頬をふくらませ、それでも権田真鳥のあとを追った。

……。

川市体育センター。

神野お婆さんは神野若帆、神野若奈と並んで、川市第一中学の応援席に座っていた。目の前では試合が熱を帯び、会場の空気がうねっている。

だが神野若奈は、他...

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