第26章 交通事故に遭った、通報するか示談にするか?

「状況を見てからだな。いい、先に空港へ向かうぞ」

権田真鳥は腕の高級時計にちらりと目を落とし、そう言った。

「了解です。いつでも出られますよ」

青木啓が笑って応じる。

ロールスロイスの車内。

権田真鳥は後部座席に、青木啓は助手席に座っていた。

「ここまでしなくても、運転手に送らせればいいだろ」

権田真鳥には、青木の意図がいまひとつ読めない。

「いいじゃないですか。ちょうど暇ですし」

青木啓は気にした様子もない。

後部座席の男は、上質な白いシャツを着ていた。皺ひとつない。まっすぐ落ちるスラックス、脇にはジャケットが掛けられている。

長い指でシャツのボタンをつまみ...

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