第44章 彼女がブレスレットを取ったのだった

「半田社長、申し訳ありません。これは本当に誤解でして……」

芳賀永利は半田虹の言葉を聞いた瞬間、額の冷や汗を指でぬぐった。

「あなた、誤解じゃないわよ! 神野若芽っていう田舎者が、静静のブレスレットを持っていったの!」

芳賀夫人が、かまってもらえないのが不満なのか、横から甲高く喚き立てる。

「黙れ」

空気も読めないのか。

目の前のこの女に必死で取り入っているのが見えないのか。

愚かにもほどがある。普段は金を使って買い物しているだけで、頭は一ミリも育っていない。

半田虹が冷たく笑う。

「芳賀社長。ずいぶん立派なしつけですね。証拠もないのに、盗みだと決めつける。……普段の商売も...

ログインして続きを読む