第58章 彼らはみんな狂ったのか?

その場にいた医師の多くは、なおも首をひねっていた。外科の中でも心臓手術は別格の難度だ。十年、八年と修練を積んでも、執刀医として単独でメスを握るのを躊躇する者は少なくない。ましてや今回の患者は難治の症例で、しかも高齢。ほんのわずかな判断ミスが命取りになる。

それなのに――高校生の少女に、その手術を任せるという。

衝撃を受けないほうが無理だった。

世界は、どうかしている。

院長にも疑問は山ほどあった。だが、居並ぶ専門医たちが神野若芽に向ける態度は、異様なほど恭しかった。だからこそ、喉まで出かかった言葉を飲み込むしかない。

神野若芽はすでに手術の準備へ向かっている。周囲も気を抜けるはずが...

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