第70章 ついに来た

相手が狙っているのは、彼女を慌てさせて弁解させることだと、神野若芽には見えていた。慌てれば慌てるほど言葉は乱れ、そこを突かれて「後ろめたいから必死なんだ」と印象づけられる。

だから、口論に付き合う気はない。こういう時こそ、冷静でいるべきだ。

冷静でいれば、敵は勝手に怯える。

――どうせ、原石賭けはもうすぐ始まる。あの男も必ず顔を出す。

見物人は増える一方で、通路は詰まり、原石売り場のスタッフも整理に出てこない。

このままでは、神野若芽にとって不利だ。

少し離れた場所。人だかりの外れ、薄暗い物陰から、二つの視線が神野若芽を捉えていた。

寺内七造と、権田真鳥。

寺内七造は人の輪の...

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