第72章 半分に切る

三十分も並んで、ようやく神野若芽の番が回ってきた。

若芽は原石をカッターの職人に渡す。職人が確認するように言った。

「対切りでいきます?」

若芽は首を振る。

「だめ。マウシットシットの原石は対切りしない」

職人が若芽をちらりと見て、口元だけで笑った。

「……通だね」

マウシットシットは『当たればデカい』原石として知られている。本来なら、誰だって欲しがるはずだ。

だが致命的な欠点がある。――割れやすい。

だからマウシットシットを賭けるなら、まずは開窓。窓の色味が良ければ、切らずにそのまま次の「もっと度胸のある買い手」に流す。

一刀入れて中がカスだったら終わりだ。しかもこの石...

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