第93章 そんなに強がらなくていい

「ん……」

薬を飲み下した途端、神野若芽のまぶたが重くなる。

疲れの滲む顔を見て、権田真鳥は毛布をそっと引き上げ、少女の肩口までかけ直した。

「休め。俺は用がある。先に行く」

「見送らない」

そう言い捨てて、神野若芽は目を閉じる。次の瞬間には、意識がふっと沈んでいった。

権田真鳥は足音を殺し、部屋を出る。扉を静かに閉めた。

——彼が去ってから、神野若芽は重いまぶたを持ち上げ、個室のドアを一度だけ見た。

さっき、自分はあいつの前で眠ってしまった。

いつから、こんなに警戒心が薄くなったのだろう。

……。

寺内七造は、二階から降りてきた権田真鳥を見つけて近づいた。

「寝まし...

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