第96章 偽装

「こ、これ……まずいんじゃ……若芽姉さんの物とはいえ、勝手に人のを開けるなんて……」

神野若奈は困ったように言った。

――正直、いまこの瞬間、若奈は若帆以上に中身が気になっていた。

神野若帆はにやりと口角を上げる。

「かな姉、何ビビってんの? あの田舎者、ぐっすり寝てるし。他の子も見てない。こっそり開けて、あとでちゃんと封し直して返せばバレないって」

若帆に背中を押され、若奈は紙袋を取り出すと、そっと封を切った。

中から引き抜いたのは、一枚の合格証。

「国際数学オリンピック……合格証?」

若奈の声が裏返った。

そこに印字されていた名前は――神野若芽。

神野若芽が、IMO?...

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