第5章
綾乃礼央視点
彼の驚愕に満ちた表情を見て、もう後戻りはできないと悟った。
「何度も、悪い夢を見たんだ」
私は涙を流しながら、彼の車椅子の前にひざまずいた。
「その夢の中で、空栖はいつも私のせいで死んでしまうんだ」
「夢……?」
空栖の顔はまだ青白く、その目には戸惑いの色が浮かんでいた。
「礼央、夢はただの夢だよ……。誕生パーティーの時から、君の様子はずっとおかしかった……」
「ただの夢じゃない!」
私は彼の手を握りしめた。
「あまりにも現実的で、まるで……まるで予言みたいなんだ。空栖、私たちが初めて会った時のこと、覚えてる?」
彼は一瞬黙り込み、その瞳に柔ら...
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