第9章

綾乃礼央視点

車のドアが乱暴に閉まる音が倉庫に響き渡った。そして、聞き慣れた声が聞こえた。

「礼央!どこだ!」

空栖!

途端に涙が噴き出した。

「空栖!ここにいる!」

「うるさい!」

瀬川江が銃を抜き、私に向けた。

「もう一声でも出したら殺すぞ!」

倉庫の扉が勢いよく開かれ、空栖が車椅子で乗り込んできた。縛られている私を見て、彼の顔は幽霊のように青ざめた。

「礼央!」

「空栖!」

私は泣きじゃくった。

「気をつけて!この人、銃を持ってる!」

「彼女を離せ!」

空栖は瀬川江を激しく睨みつけた。

「俺に当たれ!」

「俺に当たれだと?」

瀬川江...

ログインして続きを読む