第30章

彼女の背後、そう遠くない茂みの陰から――ひょこ、と三つの顔が覗いた。

小さな頭が三段重ねになっていて、ぷくぷく、ふわふわ。いかにもミルクの匂いがしそうな愛らしさだ。

けれど桐生麻衣は、欠片ほども可愛いとは思えなかった。胸の中を埋め尽くすのは、ただ恐怖。

「隼人? さっきまでお母さんはお祖父さまとお話してたのよ。どうしてこの子たちを連れてきたの?」

「お母さんに挨拶もしないで、大人の話を盗み聞きするなんて失礼よ。ママが教えたでしょう」

長々と説教されて、神崎隼人は露骨にうんざりした。

両耳を塞ぎ、苛立った声で言い返す。

「うるさいな。僕ら、たまたま通りかかっただけだし。誰があんた...

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