第45章

「桐生麻衣!」

声の主を聞き取った瞬間、桐生初夏は思わず目を細めた。瞳の奥で、危うい光と警戒心がちらつく。

――この女が、いまさら何の用だ。

「私はずっと元気よ」

口元だけで笑ってみせる。けれど吐き出した声は、氷みたいに骨の髄まで染みた。

「それより、あんたとお父さんのほうが……最近、あんまりうまくいってないんじゃない?」

――このクズ、まだそんな口が利けるの?

桐生麻衣の目に、ぞっとするほどの憎悪が浮かぶ。握ったスマホに、無意識に力がこもった。

「……ぜんぶ、お姉ちゃんのおかげよ」

前回は神崎司が出てきたおかげで、桐生家の危機はどうにか乗り切れた。

ネットに出回った「殺人未...

ログインして続きを読む