第47章

「私が嘘ついたかどうか、入って確かめればいいでしょ?」

部屋の中は真っ暗だった。背後の扉が、バタン、と乱暴に閉められる。

桐生初夏が状況を整理する間もなく、鼻先にまとわりつくような――妙に甘ったるい匂いが広がった。

まずい。

そう悟った瞬間にはもう遅い。意識がじわじわと崩れ、身体の力が、砂みたいに指の隙間からこぼれ落ちていく。

三十分後。

再び扉が開き、マスクをつけた女が二人、足音も遠慮なく入ってきた。

桐生麻衣と、桐生雪絵。母娘だ。

「ねえ、今回の迷煙、けっこう効くじゃない」

床に転がる桐生初夏を見下ろし、桐生雪絵の目に、毒々しい光が走る。

「当然でしょ。大金はたいて、...

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