第80章

彼女はチラシを一枚取り出し、差し出した。

「来週、他の幼稚園と合同で書画コンクールを開くことになってね。萌々ちゃん、参加してみないかなって」

他の子なら、秋好先生もわざわざ聞かずに直接申し込んでいたかもしれない。

だが、萌々の事情を考慮し、やはり本人の意思を直接確かめたほうがいいと判断したのだ。

「萌々ちゃん、お絵かき大好きだよね?」

目の前の、白玉のように愛らしい少女を見つめ、これ以上ないほど優しい声をかける。

「今回は他の幼稚園のお友達もたくさん参加するし、賞品もいっぱいあるの。萌々ちゃんも出てみない?」

萌々の虚ろな瞳に一瞬だけ光が宿ったが、すぐにまたふっと消え失せた。

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