第85章

「わあ、やっと基礎アップグレードが全部終わった!」

午前中ずっと忙しく立ち働いていた桐生初夏は、満足げなため息を漏らした。

現在、明和と提携しているすべてのソフトウェアで、第一層のセキュリティ暗号化が完了している。

まずはユーザーデータの機密性を確保すること。それが今回の主力プロジェクトの一つでもあった。

桐生初夏が食事のために一階へ降りると、外から足早に戻ってくる手塚蘭の姿が目に入った。

彼女はキャップを目深に被り、普段とはまったく違う服装で、カードキーをかざしてエレベーターに乗り込んだ。

朝のビルの言葉を思い出し、桐生初夏は少し警戒心を抱いた。

彼女は何気なく会社を出るふり...

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