第7章
千夏視点
机の上のカレンダーが、まるで私を責めるように見つめてくる。三月十五日――明日。私の、十八歳の誕生日。
この新しい生活を始めてから二年が経った。授業とアルバイトを必死にこなしながら、自分のアルゴリズム関連の実績を構築してきた二年だ。
ノートパソコンの青い光の中で、ワンルームの部屋はいつもより狭く感じた。でも、ここは私のものだ。みすぼらしい家具も、山積みのプログラミング専門書も、私が書いた一行一行のコードも――すべて、私のもの。
明日、私はまた十八歳になる。
記憶が、物理的な一撃のように私を襲った。
あの日の千夏。同じ日に天野宅の屋上に立ち、S市の夜景を見下ろ...
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チャプター
1. 第1章
2. 第2章
3. 第3章
4. 第4章
5. 第5章

6. 第6章

7. 第7章

8. 第8章

9. 第9章

10. 第10章


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