第十二章 四年後の花火

四年後、横浜。

山手の宴会場は灯火に包まれ、低く垂れ込めた雲の腹が花火で橙金色に染まっていた。

温音――いや、今は桐島雪音と呼ぶべき彼女は――姿見の前に立ち、霞んだ人影の輪郭に向けてわずかに首を傾けた。

細部は相変わらず見えない。鏡の中の顔立ちは薄い霧を隔てたように曖昧だ。それでも明暗の境界は分かる。カーテンの色も、陽光が床に落とす形も。

「雪音姉さん、入ります」

雪人がドアを押して入ってきた。隣に並んで鏡を見つめ、しばらくして口を開いた。

「四年前とは、違いますね」

「どこが」

「本物の当主みたいです」

温音は裾をわずかに引いた。何も言わなかった。

今夜の宴会は、帰国後の最初の一手だ。桐島家...

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