第十五章 それぞれの思惑

翌朝、雪音はホテルのレストランで朝食をとった。

窓の外に東京の朝景が広がり、陽光がガラスカーテンウォールに当たって、目を刺すような白を弾いていた。窓際の席に腰を落ち着け、手元のタブレットで画協から届いた企画資料を眺めていた。

雪人がコーヒーを持って向かいに座った。

「今日の予定は」

「午前中は画廊の書類処理です」と雪人が言った。「午後に面会が一件、遠山さんのところで」

雪音は小さく頷き、それ以上は何も聞かなかった。

スマートフォンが震えた。画面に表示されているのは時透からのメッセージだった。

「心音の様子は安定している。保護者によると、昨晩はよく眠れたとのこと」

その一文を見つ...

ログインして続きを読む