第十九章 鎌倉夜話

「どういう状況だ」

声は抑えられていた。平板で、感情が読めない。

「保護者からの報告です。今日の午後、心音ちゃんの様子がひどく不安定で、ずっとあなたのことを聞いていたそうです。それで——一人で外に出てしまいました」

時透が一拍置いた。

「手には、あなたが先日送った手紙を握りしめていたそうです」

雪音は目を閉じた。何も言わなかった。

「今は見つかっています。近くの路地で。怪我はありません」

四年かけて積み上げてきた静けさが、その瞬間、内側からひびを入れた。

「わかった」

声は安定していた。安定しすぎていた。どこか力を入れすぎている、そういう安定だった。

「今夜は保護者に付き添...

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