第二十四章 亀裂

同じ夜、帝国ホテルの宴会場。

宵の口。長テーブルの両側に人が埋まっていた。

颯真は上座の隣に腰を落ち着け、表情は静かだった。礼服はきっちり着こなされ、カフスは一分の乱れもなく、まるでそこに置かれた置物のよう。それでいて、テーブル全体との間にはどこか目に見えない距離があった。

川里枝と朝霞の父親は、ほぼ交互に口を開いた。話題は朝霞家の近況から黒崎グループの新プロジェクトへ、そして颯真と澄花の婚儀へと流れていく。一言一言は何気ない口ぶりで、しかしどれも同じ一点へと落ちていった。

澄花は颯真の右隣に座り、表情に柔らかさをたたえていた。手をそっと颯真の袖の方へ寄せているが、触れるわけではない。...

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