第三十二章 夜に沈む石

宴会場で、颯真の携帯が鳴った。

三村天からの着信だった。

「調査結果が出ました」三村天の声は低く抑えられていた。「白崎時透のロンドンでの行動記録が、桐島雪音のそれと高度に重なっています。時間軸で少なくとも三年。二人が長期間、同じ場所にいた可能性が極めて高い」

颯真はすぐには答えなかった。

白崎時透。

その名前が胸の奥へと落ちていく。石が深い水底に沈むように、音もなく——けれど確かに、何かを揺り動かしながら。

携帯を下ろし、大股でホテルを出た。

温音はちょうど路肩に停まったタクシーのドアを引き開けようとしていた。颯真はすでにその背後に立っていた。声の底に、何か重いものが滲んでい...

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