第四十六章 血と沈黙

「颯真……」

背を向け、玄関へと歩いていく。

靴を履く前に、足が一瞬止まった。

振り返らなかった。

「母が、子どもを産んでほしいと言っている」

声は平坦だった。自分とは無関係の事柄を告げるような、乾いた平坦さ。少し間を置いて。

「この話は、これで終わりにする」

ドアが開き、閉まった。

廊下に足音が遠ざかり、夜の闇の中へ消えていった。

澄花はソファに腰を下ろしたまま、長い間動かなかった。


その夜、颯真は横浜から専用機で発った。

一週間前から、ロンドン側への布石は動き出していた。三村天は白崎時透のアジア太平洋圏での動きを報告し、ロンドンの庄園の人員配置と警備の交代間...

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