第四十七章 筹码(駒)

廊下に足音が響いた。

颯真が部屋に入ってくる。黒いスーツ、ネクタイはきちんと結ばれていた。室内を一瞥し、視線が時雄へと落ちる。

時雄はカーペットの上に座っていた。目の前にはいくつかの積み木と小さなぬいぐるみ。積み木は組まれていない。ただ、置いてあるだけだ。

颯真は向かいにしゃがみ込んだ。

二人の視線が合う。

「飯、食ったか」

「食べた」

「よく眠れたか」

「まあ」

一問一答、時雄はきちんと応じる。だが目は終始平らで、颯真のほうへ余分な視線を向けようとしない。颯真は彼を見つめ続けた。何かを待っているようで、何を待てばいいのか分からないようでもあった。

沈黙が続く。

時雄は積...

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