第四十九章 白い廊下

救急病棟の廊下。白い光と消毒液の匂い。

颯真は温音の処置を待っていた。

「颯真」

廊下の向こうから梁夏が歩いてきた。私服で、脇にファイルを抱えている。どこかのオフィスから出てきたばかりのような格好だった。颯真の前で立ち止まり、処置室の方に視線を流してから、戻した。

「ここで会うとは思わなかったよ」少し間を置いて、「でも、ここはうちの病院だしね。わざわざ選んできた?」

「近かった」颯真の声は平たかった。

「そうか」梁夏はファイルを脇に挟み直し、口調を少し緩めた。「どうした、何かあったのか」

颯真は答えず、ただ一瞥した。

その目の意味は明確だった――聞くな。

颯真は視線を処置室の...

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