第五十一章 それでも、答えは出なかった

翌朝、颯真はすっかり元に戻っていた。

温音は厨房で、彼が二階から下りてくる足音を耳にした。振り返らなかった。自分の分だけ朝食を用意した。ご飯、漬物の小皿、味噌汁一杯。それだけ食卓に並べて、椅子を引き、箸を取った。

颯真は厨房の入口に立ち、食器がひとり分しか並んでいないテーブルを一瞥した。胸の奥で何かが詰まったが、何も言わなかった。自分でコーヒーを一杯注いで、テーブルの反対側に腰を下ろした。

重い沈黙が食卓に漂っていた。昨夜の個室でのことは、誰も口にしなかった。あの「ありがとう」という言葉にも、誰も触れなかった。

ふたりはそれぞれ黙って食べ終えた。まるで他人のように、静かに。

温音が立...

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