第五十二章 足元を固めて

夜の八時を過ぎた頃、時雄から電話がかかってきた。

「ママ、ぼく今日ね、積み木でとっても高い塔を作ったんだよ。この前より全然高い」

さっき風呂から上がったばかりなのか、のびのびとした声だった。たいした報告をしているつもりらしい。

温音は一瞬止まった。意識が追いつくより先に、口元が動いていた。「そう、どのくらい高いの?」

「ぼくよりちょっとだけ高い」

「倒れない?」

「ちゃんと安定させたから大丈夫」

間があった。声のトーンが落ちた。温音の胸の奥をきゅっと締めつけるあの声になった。

「ママ、いつ迎えに来てくれるの」

「もうすぐよ」と温音は言った。「もう少しだけ待っていて」

「じゃ...

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