第六十八章 鎖された部屋

翌朝、温音は書斎で画廊の展覧会資料を調べていた。

明里から電話が来た。声に、抑えきれない緊張が滲んでいた。

「温音、時透さんから情報が入ったの——時雄さんを秘密裏に救出しようとしているらしくて」

温音の指が、紙の上で止まった。

「別邸のことは」と彼女は声を低くした。「私が直接見た。警備が非常に厳しい。強行突破はほぼ不可能よ。じっくり機会を待つように伝えて」

「わかってる、でも彼は——」

「明里」

温音が遮った。声は静かだった。

「待って」

二秒の沈黙の後、明里が長く息を吐いた。「……わかった」

電話を切ると、書斎に静寂が戻った。

窓から差し込む光が、温音の影を床に引き伸ば...

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