第九十二章 廉価な夜の果て

「美咲さん、今夜の宴会場での発言は、澄花さんの指示ですよね」

温音は少し間を置いた。声は静かだったが、言葉のひとつひとつが床に落ちるように重く響いた。

「口座を凍結され、契約をすべて失い、今日警察に連行された人——今一番、自分の末路を心配すべきなのは、私ですか、それとも彼女ですか。それに……」

温音はわずかに首を傾け、視線を美咲の顔の上にさらりと流した。

「自分の身も守れない人間のために出てきて、わざわざここまで来てこんなことを言う——美咲さん、今夜の自分が少し……安っぽいとは思いませんか?」

最後の一語は、ことさら軽く、ことさら平坦に落とされた。

美咲の顔色がさっと赤く染まった。...

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