第1章
私の名前はアイリス・ホロー。五歳。私が住んでいるのは、家族で営む葬儀社だ。
たいていの人はそれを奇妙だと言うけれど、私にとってはただの「おうち」。一階はパパの仕事場で、二階が私たちの住まいになっている。夜になるとシーンと静まり返ることもあるけれど、怖くなんてない。だって、死んだ人は生きている人よりもずっと静かなんだもの。
今日の午後は、トミー・ピーターソンの葬儀がメインホールで執り行われている。外は雨降りで、窓を打つ雨粒がまるで小さな小石みたいな音を立てている。本当なら二階で継母のデライラと一緒にいなきゃいけないんだけど、彼女はまた部屋で泣いているから、こっそり抜け出してきちゃった。
私はお葬式に出るのが好き。死ぬことが好きなわけじゃない。人を助けるのが好きなの。
トミーはまだたったの八歳で、私より三つお兄さんだった。白血病を患っていて、長いこと病院で過ごしていたんだって。今の彼は、お気に入りのスーパーマンのTシャツを着て、あの綺麗な箱の中で安らかに眠っている。
トミーのママのピーターソンさんは、棺の前に膝をついて、胸が張り裂けそうなほど泣き崩れている。その泣き声がホール中に響き渡って、みんなをいたたまれない気持ちにさせていた。牧師様が何かたくさんお話をしているけれど、彼女の耳には一つも届いていないみたい。
トミーがお話ししたがってる。私は心の中でそう思った。もう泣かないでって、ママに伝えたがってるの。
こんなことを考えちゃいけないのは分かってる。イヴリンおばあちゃんはいつも、私の「直感」は特別だと言ってくれるけど、お葬式の最中に口出ししちゃいけないとも言う。でも、ピーターソンさんがあんなに苦しんでいるのを見たら、もうじっとしていられなかった。
私はそっと彼女に近づくと、優しくその腕に触れた。
「ピーターソンさん?」と、私はささやく。
彼女は振り返って私を見た。涙はまだ頬を伝っている。「あら、アイリスちゃん……」
「トミーくんがね、もう痛くないよって言ってるの」私は彼女に伝えた。「自分は安全なところにいるから大丈夫だよって、ママに伝えてって」
ホール全体が、急に静まり返った。誰もが私たちをじっと見つめている。ピーターソンさんの目が大きく見開かれた。
「それからね」私は続ける。「ママが作るチョコチップクッキーが世界で一番大好きだって。天国にもキッチンがあるから、向こうのお友達にもクッキーを作ってあげてほしいんだって」
ピーターソンさんは手で口元を覆った。「どうして……どうしてクッキーのことを知っているの?」
どう説明すればいいのか分からない。ただ……分かるだけ。「トミーくんが教えてくれたから」
彼女は突然私を抱き寄せ、きつく抱きしめた。「ありがとう、いい子ね。本当にありがとう」
周りの人たちのひそひそ話が聞こえてくる。
「あの子、まるで小さな天使みたいだ……」
「こんな光景、見たことがないわ……」
葬儀が終わると、人々はゆっくりと帰り支度を始めた。ピーターソンさんはもう一度私を抱きしめて、「神様が遣わした小さな天使」と呼んでくれた。パパのマーカスは誇らしげだったけれど、同時に困惑しているようにも見えた。
私はパパの後について裏庭へと向かった。そこではデライラがすでに私たちを待ち構えていた。
「マーカス!」私たちの姿を見るなり、彼女は駆け寄ってきた。「あなた、見た? 今、何が起きたか見たの!?」
「デライラ、落ち着くんだ」パパがなだめる。「アイリスはただ、慰めようとして――」
「慰めるですって?」デライラが言葉を遮り、甲高い声を上げる。「あの子、死者の秘密を知ってるのよ! そんなの不気味だわ!」
私は彼女を見つめた。その目には、私の好きじゃない何かが宿っている。それは怒りじゃない――恐怖だ。彼女は、私を怖がっている。
「あの子は普通の子供じゃないわ!」デライラは私を指差した。「マーカス、分からないの? あの子は死を呼び寄せているのよ! あの子のせいで、この家はお化け屋敷になってしまったじゃない!」
「デライラ!」パパの声が厳しく響く。「アイリスは、俺の娘だぞ!」
「死者と暮らすのはもううんざりよ!」デライラが叫んだ。「こんな薄気味悪い場所も、あの子の恐ろしい言葉も、もうたくさん!」
パパは彼女を抱きしめようとしたけれど、彼女はそれを突き飛ばし、家の中へと駆け込んでしまった。
雨が降り続く中、パパと私は裏庭に取り残された。
「アイリス」パパは膝をついて視線を合わせ、私の肩に手を置いた。「ママはただ……少し疲れているだけなんだ。君は何も悪いことなんてしていないよ」
私はうなずいた。でも、それが単なる疲れじゃないことは分かってる。デライラは私を怖がっている。私の知っていることを、私にできることを恐れているんだ。
その夜、私はベッドに横たわり、カーテンの隙間から差し込む月明かりを眺めていた。トミーのこと、ピーターソンさんの涙、そしてデライラの目に宿っていた恐怖について考える。
その時、突然何かが見えた。
目で見たんじゃない。頭の中で、映画みたいに鮮明に映像が浮かんだの。
私は地下室へ続く階段の上に立っている。そこにはたくさんの人がいて、音楽が流れ、ケーキや飾り付けがある。私の誕生日パーティーだ。六歳の誕生日。
すると、背後からデライラが近づいてくるのが見えた。彼女の顔は歪み、その目は狂気に満ちている。彼女は私を突き落とそうと両手を伸ばし――私は階段を転げ落ち、冷たい遺体処置台に体を打ち付ける。
私ははっと目を覚ました。心臓が早鐘を打っている。
これは夢じゃないと、私は思う。これは本当に起こることなんだ。
私はベッドから抜け出し、鏡の前へと歩み寄った。月明かりの中、鏡に映る私は五歳児とは思えないほど大人びて見えた。
壁に飾られた家族写真に目を向ける。パパ、おばあちゃん、そして赤ちゃんの私を抱くデライラ。あの頃、彼女はまだ私を愛していた。あるいは少なくとも、そういうふりをしていた。
翌朝、私は朝食をとるために一階へ下りた。デライラはすでにテーブルについていたけれど、一睡もしていないような顔色だった。目は充血し、手は震えている。
パパはキッチンでコーヒーを淹れているところだった。
私はデライラの向かいに座り、自分のグラスにミルクを注いだ。彼女はまるで危険な猛獣でも見るような目で私を凝視している。
「おはよう、ママ」私は愛らしく言った。
彼女は答えない。
「ねえママ、知ってる? 死んだ子供たちって、私とお話しするのが大好きなんだよ」ミルクを飲みながら、私は続けた。
「やめて……そんなこと言わないで……」彼女の声は小さい。
「昨日の夜、トミーくんが会いに来てくれたの」私は嘘をついた。けれど、とても自然に。「向こうの世界ですごく幸せだって言ってた。お友達がたくさんいるんだって」
デライラの顔がさらに青ざめていく。
「それからね、ここは安全だって言ってたよ」私は無邪気を装って続ける。「私がここを守っているからって。もし私たちの家族を傷つけようとする人がいたら、みんなが私に教えてくれるんだって」
「やめて!」デライラが突然立ち上がり、椅子がガタッと大きな音を立てた。「聞きたくない! もう聞きたくないわ!」
彼女が階段の方へ走り出すと、パパが慌ててキッチンから出てきた。
「どうしたんだ? 何があった?」
「あの子が……あの子がまた恐ろしいことを言うのよ!」デライラは私を指差した。「マーカス、もう無理よ! これ以上は耐えられない!」
パパは困惑した様子で私を見て、それからデライラを追って二階へ上がっていった。
私は一人テーブルに残り、ゆっくりとミルクを飲み干した。
私はまだたったの五歳だけど、大人が知らないことをたくさん知っている。死は終わりではないこと、愛は恐怖よりも強いこと。そして、自分を守るためには戦わなければならない時があることも。
デライラは私を傷つけ、この家族を壊そうとしている。でも彼女は知らない。私にはもう、結末が見えているということを。
