第7章

 療養所へ向かう道中、私の手のひらは汗でじっとりと濡れていた。

 一週間かけて心の準備をし、頭の中で数え切れないほどシミュレーションを重ねてきた。だが、実際にこの場に座り、ママまであと十分という距離に迫ると、私の勇気は穴の開いた風船のようにしぼんでしまった。

「緊張してるか?」パパがバックミラー越しに私を一瞥した。

「少しね」私は正直に答えた。「主に、何を話せばいいのか分からなくて」

「特別な言葉なんて用意しなくていいんだよ」パパの声は優しかった。「ママは君以上に緊張してる。昨日なんて三回も電話してきて、アイリスは許してくれるだろうかって、そればかり聞いてきたんだ」

 私は窓の外を...

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