第3章

その日の夜八時、経営陣との対決の時が来た。私は日本体操協会の役員たちがずらりと並ぶ、殺風景な会議室のテーブルの向かいに座っていた。壁には歴代オリンピックチャンピオンたちの肖像画が掲げられ、無言の圧力で私たちを見下ろしている。何が懸かっているのかを、絶えず思い出させるように。

事務局長である、ワイヤーフレームの眼鏡をかけた痩せた男が咳払いをした。

「山田佳織くん、今日の君の行動は看過できるものではない。我々は君をオリンピック強化指定選手から外すことも検討している」

私は深く椅子の背にもたれ、彼らの顔を一人ずつ観察した。

「私を、外す?」声に嘲るような響きを滲ませて、私は言った。「どうぞ。でも、このチームが私なしでは金メダルを狙えないことくらい、お互いよく分かっていますよね」

役員たちは気まずそうに顔を見合わせた。

「自分が替えのきかない存在だとでも思っているのかね」別の役員が、苛立ちを隠さずに噛みついてきた。

私はゆっくりと立ち上がった。計算され、制御された動きで。

「思う? いいえ、知っているんです。視聴率の数字を確認してみてはいかがでしょう。スポンサー契約の額も。それから、金メダルの最有力候補をベンチに下げた理由を、メディアにどう説明するおつもりか、ご自身に問いかけてみることですね」

事務局長の顎がこわばった。「山田くん、我々には行動規範というものが――」

「規範、ですか」私は滑らかに言葉を遮った。「長年、特定のコーチによるパワハラ問題を隠蔽してきた、あの規範のことでしょうか?」

その後に続いた重い沈黙が、すべてを雄弁に物語っていた。この男たちは、日本体操協会のクローゼットにどんな骸骨が隠されているか、正確に知っているのだ。

「私はもう、昨日の私じゃありません」ドアに向かって歩きながら、私は言った。「そして正直に言えば、それはあなた方の問題であって、私の問題ではありません」

部屋を出ると、冷たい満足感が胸に広がった。

『私を失うわけにはいかないって、分かってるくせに』

背後で聞こえる神経質な足音を聞きながら、私はほくそ笑んだ。

午後十一時、寮の自室に戻り、ベッドサイドランプのかすかな光の下でベッドの端に腰掛けた。外では、合宿所がいつもの夜の静寂に包まれていく。だが、私の心は全く穏やかではなかった。

スマートフォンを取り出し、検索を始めた。前の人生で目にした、数々の名前、日付、スキャンダル。真理の秘密、田中隆の汚い取引、そして兄である山田敦の金銭的不正。そのすべてが、まだそこにあった。暴かれるのを、ただ待っている。

「真理ちゃん、これはほんの始まりに過ぎないわ」スマートフォンの黒い画面に映る自分に、私は囁いた。「あなたは一度私を壊した。今度は私が、あなたを壊す番よ」

前の時間軸では、私はいつも受け身で、彼らの攻撃に反応するだけだった。だが今回は、カードはすべて私が握っている。

簡単な検索で、真理の古いソーシャルメディアアカウントがヒットした。高価な服、ブランド品の器具、豪華なバカンスの写真。貧しい家庭の出身のはずなのに、おかしな話だ。

スマートフォンが新しい検索結果で震える。山田敦の名前が記載された財務記録。真理が初めて私たちの家の前に現れる二週間前の日付で、私立探偵への支払いがあったことが記されていた。

「非常に興味深いわね」スクリーンショットを次々と撮り、スマートフォンの容量が埋まっていく。「このウサギの穴が、どこまで深く続いているのか、見てやろうじゃないの」

廊下の向こう側で、真理が部屋を動き回る音が聞こえる。眠れないのだろう。結構なことだ。恐怖こそ、私が彼女に抱いてほしい唯一の感情だった。

それは、ほんの序章に過ぎなかった。数日後の金曜日、私は史上最悪の家族との夕食会のために、実家へ帰らなければならなかった。

午後七時きっかりに私が足を踏み入れると、山田家のダイニングルームはクリスタルのシャンデリアが暖かい光を投げかけていた。長いマホガニーのテーブルには最高級の陶磁器が並べられ、壁には一族の栄光を示す写真が飾られている。宙を舞う私、完璧なポーズで伸ばされた腕、ありえない角度に捻られた身体。山田という名の遺産がもたらす、息の詰まるような重圧の、無言の証だった。

「佳織!」テーブルの主賓席から父が呼びかけた。高価な紺色のスーツに身を包んだ、成功した実業家の姿そのものだ。「こっちへ来て座りなさい。今夜は君がオリンピックの最終候補に残ったお祝いだ!」

私は出入り口で立ち止まった。父のすぐ隣には、真理が座っている。ピンクのドレスを着て、髪も綺麗に結い上げていた。手首には肌色の包帯が巻かれていたが、それでも私にかつて信じていた偽りの笑顔を向けるのをやめなかった。

私は三つ離れた自分の席へと歩いた。兄の山田敦が私のすぐ後ろから入ってきて、まっすぐ真理の元へ行き、彼女を強く抱きしめる。

「やあ、俺のかわいい妹」彼は言った。「トレーニングの調子はどうだ? 佳織の面倒をよく見てやっていると、父さんから聞いたぞ」

『妹……?』

その言葉は、頬を打たれたような衝撃だった。いつから真理が彼の妹になり、私はただの『佳織』になったというのか。

私は、敦がかつて私に向けてくれたのと同じ優しい笑みで真理の髪をくしゃくしゃにするのを見ていた。彼が最後に私をあんな風に抱きしめてくれたのは、いつだっただろうか。

私が席に着く前に、父の声がナイフのように部屋を切り裂いた。

「佳織、今日、田中コーチから電話があったぞ」その口調は氷のように冷たかった。「君が合宿所で真理にしたこと、説明してもらおうか」

胃がずしりと重くなった。部屋が急に狭く感じられ、すべての視線が私に突き刺さる。

「お父さん、説明させて――」

「説明だと?」父の顔はすでに赤くなり始めていた。「真理に得体の知れないものを無理やり飲ませ、彼女が苦しむのを笑って見ていたそうじゃないか」

真理の瞳が、合図したかのように涙でいっぱいになった。

「わ、私は、問題にしたくなかったんです」彼女はか細い声で言った。「田中コーチにも、きっとただの誤解だって言ったんです」

もちろんそう言うだろう。まず父に電話させるよう仕向けた後で。

「誤解?」敦が真理に歩み寄り、彼女の肩に庇うように手を置いた。「佳織、お前、一体どうかしちまったんだ?」

テーブルは死んだように静まり返った。父の顔は今や完全に真っ赤になっていた。

「山田佳織」低く、危険な声で彼が言った。「今すぐ真理に謝るか、この家から出て行け」

私は彼を睨みつけた。「お父さん、私の言い分を聞いてもくれないの?」

「真理はこの家族に一度も嘘をついたことがない」父は吐き捨てるように言った。「お前は、どうやら私の知らない誰かになってしまったようだ」

その言葉は、腹を殴られたような衝撃だった。私の実の父親が、何があったのか尋ねもせずに、私より彼女を選んだのだ。

敦は真理の椅子の後ろに立ち、まだ彼女の肩に手を置いたままだ。

「父さんの言う通りだ、佳織」彼はきっぱりと言った。「最近のお前より、真理の方がよっぽど山田家の人間らしい振る舞いをしている」

その言葉は深く突き刺さった。私は兄――血を分けた兄――を見たが、そこには冷たい非難の眼差ししかなかった。いつから彼は私をそんな目で見るようになったのか。

「お兄ちゃん、私たちは一緒に育ったじゃない」私の声は震えていた。「どうして私より彼女を信じられるの?」

「彼女が俺たちの信頼を勝ち取ってきたからだ」敦はためらうことなく答えた。「お前は最近、問題を起こす以外に何かしたか?」

真理の母である美代が、偽りの心配を装って身を乗り出した。

「佳織さん、その攻撃的な感情について、誰かに相談した方がいいんじゃないかしら。健康的ではないわ」

部屋が私を窒息させるように感じられた。どの顔にも同じものが浮かんでいる。失望、疑念、私に対する完全な信頼の欠如。

もう、彼らは選んでしまったのだ。私がここに来る前から、私より彼女を選んでいたのだ。

私の中で、何かがぷつりと切れた。

椅子が後ろに倒れるほどの勢いで立ち上がった。誰も反応する前に、私はダイニングテーブルの縁を掴み、ありったけの力でひっくり返した。

凄まじい破壊音だった。皿は砕け散り、ワインがそこら中に飛び散り、ローストビーフの塊が美代の膝の上に落ちた。

「この女が娘でいいって言うのなら、結構よ!」私は叫んだ。「でも、せいぜい後悔することね!」

真理は壁に身を押し付け、初めて本気で怯えた顔をしていた。いい気味だ。

私は、まるで私が正気を失ったかのように見つめている父の方を向いた。

「彼女が私より山田らしいですって? 私がオリンピックの金メダルを獲るまで、待ってなさいよ!」

「山田佳織、今すぐやめなさいッ!」父が怒鳴った。

「今日から、誰が本当の山田家の人間か、証明してやるわ」割れたガラスの破片を踏み越えながら、私は言った。「そして、あなたたち全員にその言葉を後悔させてやる」

私は振り返らずに歩き去った。

真夜中になった頃、私は子供の頃の寝室で、自分の人生を二つのスーツケースに詰め込んでいた。これまでに獲得したすべてのトロフィー、すべてのメダルを掴み取った。それらは私のものだ、真理のものではない。

机の上に、私はメモを残した。

『私を探さないで。次に私を見るときは、テレビの中よ。山田の名前なしで金メダルを獲るところをね』

バッグを肩にかけ、部屋を最後にもう一度見渡した。この家での十八年間は、一体何のためだったのか。偽物の孤児に、すべてを奪われるためだったのか。

家族? 笑わせるな。

山田邸を後にし、私はスマートフォンを取り出し、前の人生で記憶していた番号に電話をかけた。

コールは二回鳴った。

「山田佳織です」相手が出たとき、私は言った。「あなたの助けが必要なんです。どんなことでもする覚悟はできています」

私は振り返らずに、闇に続く私道を下っていった。

山田家が真理を欲しがっている? ならばくれてやる。だが、彼らが私を手に入れることは、二度とない。

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