第6章

日本体操ナショナルトレーニングセンターの重いドアが開ききる前に、体育館のすべての会話が、ぴたりと止んだ。

月曜の朝、午前八時きっかり。私はまるで、死神がその到来を告げるかのように、入り口に立っていた。

半年間の地獄が、私を新たな存在へと削り上げていた。削ぎ落とされた肉体には、一つひとつの筋肉が鋼のワイヤーのように浮かび上がり、その動きはすべて計算され尽くしている。白石の地獄のようなトレーニングは、私の身長すらわずかに伸ばしていた。打ちのめされ、追われるようにここを去ったか弱い少女の面影は、もはやどこにもない。

「佳織……?」

野原美咲の声が、凍り付いた空気にひび割れのように響...

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