第12章 名馬

「私に用?」

胸の奥がきゅっと締まった。この常識外れの男が、いったい何を企んでいるのか読めない。

けれど宮本良介が、神崎倫司に私へ近づく隙を与えるはずもなかった。まるで所有権でも誇示するみたいに、私の手を強く掴む。

「凪紗に何の用だ、神崎倫司。いいか、凪紗にちょっかい出すんじゃねえ」

神崎倫司の視線が、私と宮本良介の重なった手に落ちる。瞳の奥に、言葉にしがたい冷たいものが浮かんだ。

しばらくして、彼は鼻で笑う。

「宮本様は何を怯えてるんです? まさか俺が、あなたの凪紗を食っちまうとでも?」

「てめぇ……!」

宮本良介が一気に顔を赤くして怒鳴りかけた、その瞬間。

神崎倫司が片...

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