第137章 服がかぶった

翌朝早く。起きて階段を下りた途端、神崎倫司の声が耳に入った。

私の姿を見つけた母が、すぐさま口を開く。

「この子ったら。もう少しで起こしに行くところだったのよ。倫司くん、もう三十分も待ってるの」

神崎倫司は立ち上がり、にこやかに私を見た。

「大丈夫です。俺が早く来すぎただけなんで」

濃紺のスーツに、上からキャメル色のウールコート。端正な顔立ちがいっそう映えて、腹が立つほど様になっている。

私は彼の隣まで行き、首を傾げて何度か眺めてから、わざと軽く笑った。

「いいじゃん。なかなか」

神崎倫司は襟元を整え、余裕たっぷりに言う。

「君のセンスがいいからね」

私は彼の耳元に身を寄...

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